何より大切なのは、メイクで彼女の残っていた幼さを隠したことだった。これなら、パーティーに出席しても浮くことなく、子供扱いされることもないだろう。
部屋に戻った馬場絵里菜は、クローゼットを開けると、大きな包装箱が一番下の段に静かに置かれていた。
慎重に取り出し、蓋を開けると、華麗なダークブルーのイブニングドレスが中に静かに収まっていた。
このドレスは、誕生日の時に高橋桃が一ヶ月かけて手作りしてくれたプレゼントだった。
このイブニングドレスを着る機会はないだろうと思っていたが、まさか今日活躍することになるとは。
さすが親友、高橋桃は馬場絵里菜のサイズを完璧に把握していて、ドレスは体にぴったりとフィットした。スカートは足首まで届き、手作業で縫い付けられたスパンコールの魚鱗模様の裾が輝きを放っていた。薄手の生地の下のダークブルーのシルクは滑らかで高級感があり、浅いVネックが馬場絵里菜の繊細な鎖骨を覗かせ、白い首筋は長く凛としていた。淡いメイクと肩に垂れる緩やかなカールの髪と相まって、全身から異なる輝きを放ち、その美しさは馬場絵里菜自身をも驚かせるほどだった。
林駆からもらったティファニーのブレスレットをつけ、伊藤春からもらったプラチナのネックレスを合わせると、馬場絵里菜は珍しく少女らしい一面を見せ、スカートを軽く撫でながら鏡の前でくるりと回って、微笑んだ。「完璧!」
私って本当に妖精みたい!
時計の針が午後6時を指すと、古谷始からの電話が時間通りに鳴った。
リビングでは月島涼がテレビを見ていて、馬場絵里菜の部屋のドアが開く音を聞いて反射的に顔を上げた。
何気ない一目で、彼の普段は無表情な顔に驚きの色が浮かんだ。
これは……
馬場絵里菜は銀色のヒールを履いて、月島涼に微笑みかけた。その笑顔は夜空の月のように、天の川のように輝いていた。
「どう?きれい?月島!」馬場絵里菜はスカートを軽く揺らしながら、彼に尋ねた。
月島涼はすぐに我に返り、ぎこちない様子で頷いた。「き...れい...」
明らかに、門主のこのような一面を見たことがない月島涼は、馬場絵里菜の新しい姿に完全に衝撃を受けていた。
顔を赤らめて視線を逸らし、その頬は前代未聞の赤みを帯びていた。
それは恋心からの赤面ではなく、戸惑いからの赤面だった。