第653章:この会社は警戒せざるを得ない

馬場長生は現実に向き合うことが得意な人物で、東海不動産について、鈴木強と同じ考えを持っていた。

彼は頷いて言った。「この会社は表面上見えるほど単純ではない。最初は私も気にも留めていなかったが、今では確実に全ての人の注目を集めることに成功している。」

「それで?」鈴木強は眉をひそめて尋ねた。「彼らの会社に誰かを送り込むか?」

産業スパイを送り込むのは大手企業間でよく使われる手段だ。もちろん、誰もができることではない。周到で秘密裏に行わなければならない。一度発覚すれば、スパイをした者は業界で生きていけなくなるだけでなく、スパイを送り込んだ会社も非難の的となるからだ。

しかし、それでもなお、このような行為はビジネス界では珍しくなく、馬場長生のような正直な性格の持ち主でさえ、このような行為を何度も行っていた。