第672話:私を選んだ報いよ!

その時、全員の注目は井上裕人と馬場絵里菜に集中していたため、馬場長生の異常な様子は他の人には気付かれなかった。ただ、彼のことしか目に入らない橋本好美だけが気付いていた。

「長生、どうしたの?具合でも悪いの?」橋本好美は心配そうな表情を浮かべた。彼女が腕を組んでいる馬場長生が急に硬くなったのを明らかに感じたからだ。

彼の顔色も良くなく、かすかに震えているようにさえ見えた。

幸い、橋本好美の優しい気遣いの一言で、馬場長生は我に返った。すぐに感情を整え、微笑んで答えた。「大丈夫だよ。でも、急に緊張してきちゃったんだ。」

橋本好美はそれを聞いて、思わず口元を緩めて笑った。「私は緊張してないのに、あなたが緊張しちゃうの?ゲームだけよ。勝ち負けなんて関係ない。みんなが楽しめればそれでいいじゃない。」