一方の馬場依子は、馬場輝を一目見た瞬間、目を大きく見開いた。
その高身長で端正な顔立ち、まだ少年であるにもかかわらず、彼の周りに漂う濃厚な男性ホルモンは隠しようがなかった。
林駆の爽やかなイケメンとは全く異なり、以前馬場依子が林駆に惹かれたのは、彼が学校の人気者で注目を集めたかったからだとすれば、今この瞬間、彼女は初めて一目惚れの本当の意味を知った。
まるでキューピッドの矢に突然射抜かれたかのようだった。
父娘の視線が揃って馬場輝に注がれたが、二人の目に宿る意味合いは全く異なっていた。
馬場輝も馬場長生を見かけ、最初は見間違いかと思ったが、よく見ると、目の前の男性が先日母親に付きまとっていた男だと分かった。
その場で眉をひそめ、馬場輝は馬場長生の前に立ち止まり、やや敵意のある目つきで彼を見つめた。