細田仲男は自ら箱を透明テープで封をしながら、言葉を返した。「彼は高校3年生になるんだ。お母さん、私が高校3年生の時どうだったか覚えてる?これは彼の人生で最も重要な一年だ。彼はベルトを締めて真面目に勉強しなければならない。一流大学に入れなくても、最低でも大学の合格ラインは超えてもらわないと!」
「ああ」老婦人は軽くため息をつき、頷いた。
細田仲男は箱を整理しながら続けた。「梓時の成績は中途半端なんだ。私と春は当時の大学入試で680点以上取ったんだぞ。萌の方は心配いらないけどね」
老婦人にとって、この孫は一人しかいないので、彼の悪口は聞きたくなかった。すぐに言い返した。「でも梓時も頭は悪くないわよ。賢いわ」
「わかってるよ」自分の息子のことを理解していないわけがない。細田仲男は言った。「彼はね、賢さを正しいところに使っていないんだ。彼を少し追い込まないと、自分の限界がどこにあるのか全く分からないままだ!この一年間しっかり勉強すれば、大学に合格するのは問題ないはずだ。だからお母さん、あなたとお父さんがどれだけ彼を可愛がっていても、この一年は甘やかしてはいけないよ」