席に戻った最初のこと、夏目沙耶香はすぐに彼女と馬場絵里菜を同じ部屋に割り当てた。冗談じゃない、クラス委員長になって初めて特権の味を知ったのだから、それを利用しない手はない。
林駆と高遠晴、そして藤井空は当然一つの部屋に割り当てられた。
「月島はどうする?」
夏目沙耶香は少し困ったように馬場絵里菜を見た。クラスの中で、月島は馬場絵里菜以外の誰とも親しいとは言えないようだった。
林駆と高遠晴が今では彼と同門だとしても、月島とはほとんど接触がないようだった。主に彼はとても冷たい人で、温かみがなかった。
「大丈夫よ、適当に誰かをルームメイトに割り当ててあげて。彼にとっては、誰でも同じだから」馬場絵里菜が言った。
事実、それは本当だった。月島涼という人の性格からすると、誰が彼のルームメイトになっても、彼は完全に無視するだろう。
彼を林駆と同じ部屋に割り当てても、おそらく同じことだろう。
他のクラスメイトが夏目沙耶香が部屋を割り当てていることを知ると、普段は彼女に敬遠していたクラスメイトたちも勇気を出して前に出て意見を言い始めた。ほとんどは自分と仲の良いクラスメイトと同じ部屋になりたいという希望だった。
夏目沙耶香は来る者拒まず、みんなの要望にできるだけ応えようとした。結局、自分が「職権を利用した」のだから、官吏だけが火を放つことを許して庶民に灯りをつけることを許さないわけにはいかない。
バスの車列は約4時間かけて青森県に入った。
県レベルの市の規模は郡よりは大きいが、市レベルの基準には達していない。青森県は2年前に県レベルの市に昇格したので、今の正しい呼び方は青葉市だが、本州の人々は青森県と呼ぶことに慣れているので、なかなか変えられない。
東京の繁華さとにぎやかさには及ばないが、青森県の街路は過去2年間の開発と再建を経て特に広々として清潔になっていた。道路の両側に高層ビルは多くないが、緑化は非常によく行われており、県全体の空気は特に新鮮で、静かで平和な雰囲気を漂わせていた。
市街地を通り過ぎると、車は再び人のいない高速道路に入り、さらに約1時間の道のりを経て、車列はついに今回の秋の遠足の目的地である青葉湖リゾートに到着した!