馬場絵里菜は前世の高校時代、学校が夏休みキャンプや冬休みキャンプなどの活動を組織していたことを覚えていたが、当時はそれらの活動に参加するには生徒がお金を払わなければならなかった。
名門校の活動費用がどれほど高額かは想像に難くなく、馬場絵里菜の家庭では到底負担できるものではなかった。
だから馬場絵里菜はとても羨ましく、参加したいと思っていても、家族に一言も言い出せなかった。
思いがけず今は彼女にお金ができ、学校が主催する秋の遠足に参加することになったが、それが無料だというのは皮肉なものだった。
なぜ今回、学校が高校2年生の全教師と生徒を連れて秋の遠足に大金を使ったのか、午後になって馬場絵里菜はその理由を推測し始めた。
みんなが昼食を食べ終えて部屋で昼寝をした後、2時40分になると、夏目沙耶香は名簿に登録された部屋番号を持って各部屋をノックし始め、生徒たちに早めに集合場所に下りるよう促した。