一組の位置は最も端の位置で、馬場絵里菜は何気なく隣の他のクラスの人々を見た。第一走者は全員男子で、第二走者もほとんどが男子だった。
「位置について!」
審判の声が突然響き、現場はすぐに静まり返った。全員がスタート地点の人々から目を離さない!
ホイッスルの音が鳴り、第一走者の男子たちは手綱を解かれた野馬のように猛然と飛び出した。
「細田強、頑張れ!」
「月島涼、行くぞ!」
「谷口林、頑張れ!」
……
観戦する人々はスタートからゴールまで集まり、走者たちの疾走に合わせて、応援の声が次々と上がった。この静かな青葉湖のほとりに、ひときわ異彩を放つ熱気が漂っていた。
他のクラスの第一走者はほとんどが最速の人たちだったが、その中でやや痩せて背の高いシルエットが最初からリードを保ち、展示台に近づくにつれてその差はますます広がっていった。
他でもない、月島涼だった。
影月の修羅というコードネームは伊達ではなく、影月の力を使わなくても、彼のスピードは一般人の比ではなかった。
「なんてこと、月島涼が飛んでるみたい!」
「速すぎる、彼の足見て、画面がぼやけてるよ!」
「このスピードならオリンピックに出られるんじゃない?」
「月島涼、かっこいい!」
「月島涼、頑張れ!」
50メートルの距離が、まばたき二回分ほどであっという間に過ぎ、月島涼は何も言わず、非常に明確な目標を持って第四層の展示台から羊肉を抱え上げ、すぐに戻り始めた。
「わぁぁぁ、羊肉ゲットだ!」
「羊肉なしでバーベキューなんてありえない、月島涼最高!」
一組の女子たちは熱狂的に叫び声を上げた。普段の月島涼のイメージはクールでアイスマンのようだったが、初めて彼が集団活動に参加するのを見て、女子たちは興奮と期待で胸がいっぱいだった。
そして月島涼は彼女たちの期待を裏切らなかった。
一盆の羊肉を持ち、その重さは決して軽くはないはずだ。通常なら人のスピードに大きく影響するはずだが、月島涼にとっては何の障害にもならないようで、まるで手に何も持っていないかのように、来た時と同じスピードで素早くゴールに戻った。