太陽が沈むと、あっという間に辺りは暗くなった。湖岸の周りには観光地の投光器があったため、みんのバーベキューには支障がなかった。
みんなは会話を楽しみながら食事をし、時折耳に響く笑い声が聞こえてきた。
空にはまだ月が昇っておらず、わずかに数個の星が天空に現れ、明滅しながら光を放っていた。
周囲の全てを感じながら、馬場絵里菜の気分は最高潮に達していた。それは内側から湧き上がる青春の喜びであり、生まれ変わってから初めて、本当にクラスの集団に溶け込めたと感じる瞬間だった。
そして、これこそが彼女の前世での心残りだったのだ。
「これ、食べてみて。私が焼いたんだ」
高遠晴が高橋桃の側に歩み寄り、焼きエビの串を彼女の前に差し出した。
高橋桃は他のクラスメイトと話していたが、その光景を見て笑顔が思わず凍りついた。
隣にいた二人の女子学生は目を合わせ、高橋桃と高遠晴を見ながら、意味深な笑みを浮かべた。
「ありがとう」高橋桃は少し目を伏せ、手を伸ばして受け取った。
二人の指先が偶然触れ合い、高橋桃は緊張のあまり下唇をきつく噛んでしまった。
高遠晴は平然としていて、ただ静かに言った。「熱いうちに食べて。冷めると美味しくなくなるから」
高橋桃は顔を上げる勇気もなく、小さな声で「うん」と答えた。
高遠晴が離れていったと感じるまで、彼女はようやくゆっくりと顔を上げた。頬は火照るように熱かった。
「高橋桃...あなたと高遠晴は...」女子学生の一人が思わず口を開いた。言葉は途中だったが、その意味は明らかだった。
高橋桃は急いで首を振った。「変なこと言わないで。私たちは友達だし、隣の席だし」
高橋桃が認めたくないわけではなく、彼女と高遠晴の現在の関係はそういうものであり、認めるべきことは何もなかった。
確かに彼女は高遠晴と二人きりになると緊張して心拍数が上がるが、それも何かを証明するものではなく、彼女はそういう人なのかもしれないと思っていた。
高橋桃はそう考えていた。
女子学生はそれ以上深く尋ねなかったが、二人の様子を見ていると、そう単純なものではないと感じていた。
隣の席というのは、近くにいるからこそ可能性があるのかもしれない。
少し離れたところで、無表情な顔と陰険で恐ろしい目をした人物が、高橋桃の背中を一瞬も目を離さずに見つめていた。