020:低俗と優雅

小林桂代はラ・メールが何なのか知らなかったが、大川素濃は知っていた。

ラ・メールは国際的な高級ブランドだ。

スキンケアセット一式が一万元ほどするため、セレブ向けスキンケア製品とも呼ばれている。

大川素濃も一度だけ使ったことがあり、それは結婚記念日に小林強輝が贈ってくれたものだった。

しかし、高級ブランドとはいえ、使用した人は皆知っているが、実際の効果は普通で、宣伝ほど誇張されたものではなかった!

それを聞いて、大川素濃は小林桂美を見て言った。「お姉さん、私もラ・メールを使ったことがあるわ。でも、ラ・メールは綾乃の美人亭には及ばないわ!美人亭を一度使っただけで顔のニキビが消えたのよ。ラ・メールにはそんな効果はないわ!」

小林桂美が小林綾乃のスキンケア製品を断れば、きっと後悔することになるはず!

これを聞いて、小林桂美は笑いそうになった。

小林桂代は字も読めない無学な人だから分からないのは仕方ないが、まさか大川素濃までもが混乱するとは。

でも考えてみれば当然だ。

大川素濃はどうせ田舎者で、彼女のような都会人とは比べものにならない。

大川素濃の様子を見れば、高級スキンケア製品を使ったことがないのは明らかで、ましてやラ・メールなんて!

彼らは全く次元が違うのだから、どうやって分かり合えるというの?

まさに夏の虫に氷を語れないようなものだ!

大川素濃は大卒とはいえ、もっと外の世界を見るべきだ。

外の世界はもっと広いのだから!

小林桂代はまだ小林桂美の目に浮かぶ軽蔑に気付かず、頷いて言った。「素濃の言う通りよ。綾乃の作ったスキンケア製品はとても良いわ。桂美、あなたの顔にもニキビが二つできているでしょう?持って帰って試してみて、明日の朝には必ず何もなくなっているわよ!」

小林桂美は呆れた。

明日の朝には何もなくなる?小林桂代は仙丹だと思っているのか?

ラ・メールのような高級ブランドでさえ、そんな効果は得られない!

ラ・メールには研究チームがいるのだ。

小林綾乃なんて何者?

十七、八歳の金髪のやつが、どうしてラ・メールの研究チームと比べられるというの?

心の中では軽蔑していたが、小林桂美はそれを表に出さず、しぶしぶ小林桂美から渡されたスキンケア製品を受け取って、「じゃあ、帰って試してみるわ」と言った。