城井沙織は小林綾乃を見た瞬間、少し驚いた。
小林桂美は顔色が悪く痩せていて見栄えがしないので、綾乃もきっと田舎くさい村娘だろうと思っていたのだ。
まさか綾乃がこんなに綺麗だとは。
完璧な卵型の顔立ち、白い肌、特に目を引く美しい桃花眼。
城井沙織は認めたくなかったが、綾乃は本当に綺麗で、今流行りのインスタ顔とは違う、独特な魅力があり、春風のような美しさを持っていた。
こんな人は、どこに行っても注目の的になるはずだ。
でも幸いなことに、綾乃は勉強は普通で、田舎育ちで、特技も何もなく、きっと歌も音痴なんだろう。
そう考えると、城井沙織はほっとした。自分は綾乃ほど綺麗ではないかもしれないが、他の面では綾乃よりずっと優れているのだから。
綾乃は美人面、自分は美人骨というわけだ!
小林綾乃は一歳年下のこのいとこを見て、さりげなく眉を上げた。
自分は高校三年生で、城井沙織は高校一年生。
高校一年生のいとこが高校三年生のいとこの勉強を指導する?
面白い。
城井お母さんは続けて言った。「綾乃ちゃん、うちの沙織は今高校一年生だけど、小さい頃からとても賢くて、もう高校二年生と三年生の全課程を独学で終えているのよ。彼女の学年は30クラスあるけど、沙織はいつも学年で50番以内なのよ!」
30クラス、合計1800人の生徒の中で常に学年50番以内をキープできるなんて、しかも青葉第一高校は市の重点校だ。これだけでも城井沙織の恐るべき実力が分かる!
だからこそ、城井沙織はずっと城井お母さんの誇りだった。
城井家は三代前から学者の家系だ。
城井お父さんは公務員。
城井お母さん自身も教育者で、息子は事業単位所属、娘は心理学の専門家、婿は青葉高校の優秀な教師、孫は勉強はごく普通だが、現在海外で留学中だ。
海外で学んで帰ってくれば、すでに国内の大多数の人々を超えているだろう。
ここまで話して、城井お母さんは目を細め、小林綾乃の方を向いて続けた。「だから綾乃ちゃん!私たちは皆家族なんだから、分からないことがあったら、沙織より年上だからって遠慮しないでね。あなたたち二人は環境が違うけど、うちの沙織は人助けが大好きで、あなたの勉強を教えることは、彼女自身の知識の復習にもなるのよ。」