048:自分を知る分別

ただのほくろだけなのに。

何の問題があるというの?

白川露依は最初からこのことを気にしていなかった。

夫が義母を連れて病院に検査に行きたがり、嫁として止めることもできず、一緒に付き添うしかなかった。

院長の言葉を聞いて、山下文空もほっとして笑いながら言った。「何もなくて良かった!」

山下おばあさんもほっとして、「問題ないなら、生検はやめましょう」と言った。

資源の無駄遣いだわ。

それを聞いて、山下言野は少し不安になり、山下おばあさんを見て、「生検はやるべきです。安心のためにお金を使うと思えばいいでしょう」と言った。

山下文空は頷いて、「言野の言う通りだ。せっかく来たんだから、生検をしましょう」と言った。

白川露依は何か言いたそうだったが、言葉を飲み込んだ。

院長は笑顔で「では7日後に生検の結果を」と言った。

病院から帰った後。

山下言野はパールプラザに向かおうとした。そこで商談の約束があった。

白川露依は山下言野に気をつけて運転するように言った。

そう言って、何か思い出したように山下言野を見て、「言野、ちょっと待って」と言った。

山下言野はブレーキを踏んで、「何かありますか?」と聞いた。

白川露依はにこにこしながら近づいてきて、「言野、おばさんに正直に言いなさい。本当に彼女はいないの?」

彼女は山下言野が外に誰か気になる人がいるのではないかと思っていた。そうでなければ、どんな健康な若者が彼女を欲しがらないだろうか?

これは異常すぎる。

「いません」と山下言野は答えた。

白川露依は目を細めて笑い、「じゃあ、私が紹介しようか?」

彼女は大谷仙依がいい選択だと思っていた。

彼女はすでに大谷家の者たちの前でこのことを遠回しに伝えており、大谷家の人々も大谷仙依も明確な拒否はしなかった。これは大谷仙依が高望みをする人間ではないということを示している。

彼女は確実に山下言野を偏見の目で見ることはないだろう。

もしかしたら大谷仙依は本当に山下言野の運命の人かもしれない。

山下言野は急に頭が痛くなった気がした。「おばさん......」

彼の言葉が終わらないうちに、ちょうどその時携帯の着信音が鳴った。山下言野は救われたように携帯を取り出し、相手が話し始める前に即座に「はいはいはい!すぐ行きます!」と言った。