山下おばあさんは小林綾乃がこれほど凄いとは思わなかった。
最近微熱があったことまで知っているなんて。
まるで田中占い師よりも神がかっている!
「私は漢方医学を少し勉強しています」山下おばあさんの現状を分析しながら、小林綾乃は言った。「金田おばあさん、最近手のひらにほくろができましたか?」
ほくろ?
それを聞いて、山下おばあさんは右手を差し出した。「綾乃ちゃん、このほくろのことかしら?」
山下おばあさんの右手のひらには、はっきりと黒い斑点が見えた。
小林綾乃は少し目を細めて「そのほくろは2ヶ月前にできたものですか?」と尋ねた。
山下おばあさんは驚きの表情を浮かべ、目には尊敬の色が宿った。「綾乃ちゃん、その通りよ!」
小林綾乃は初対面なのに、最近2日間微熱があったことだけでなく、手にほくろができたことまで知っていた。
小林綾乃は続けて「このほくろは悪性黒色腫の前兆です。病院で生検を受けることをお勧めします。早期発見なら、がん細胞の転移を防ぐことができます」と言った。
がん化!
それを聞いて、山下おばあさんは目を見開いた。
ただの小さなほくろなのに。
そんなに深刻なの?
小林桂代はすぐに小林綾乃を見上げた。「綾乃、そんな無責任なことを言っちゃダメよ。」
がんは命に関わることだから。
「お母さん、無責任なことは言っていません。」そう言って、小林綾乃は山下おばあさんの方を向いた。「金田おばあさん、これはまだ初期段階です。すぐに病院で治療を受ければ治りますから、心配しないでください。精神的なプレッシャーも感じる必要はありません。」
山下おばあさんは頷いた。「わかったわ。」
大川素濃はすぐにお水を持ってきた。「金田おばさん、お水を飲んで落ち着いてください。」
山下おばあさんはごくごくと大きく一口飲んだ。
大川素濃は小林綾乃を見て、緊張した様子で尋ねた。「綾乃ちゃん、私の腕にもほくろがあるんだけど、それも悪性黒色腫じゃないよね?」
「大丈夫です。」小林綾乃は続けて「おばさん、突然できたほくろだけががん化のリスクがあるんです。心配しないでください。」
「そう。」
言い終わると、小林綾乃は山下おばあさんに念を押した。「帰ったら必ず病院に行ってくださいね。」