城井沙織は謙虚そうに見えるが、実は内心とても自信に満ちていた。
彼女はクラスでいつも10番以内の成績を収めており、今学期はまだテストはないものの、とても頑張っていて、塾にも欠かさず通っている。講師からも才能があると言われ、今回の数学コンクールできっと注目を集めるだろう。
中村の前で控えめにしているのは、目立ちたがりの小林綾乃との対比を際立たせるためだった。
満ちた壺は音を立てず、半分の壺は響く。
明らかだった。
小林綾乃こそが、その半分の壺なのだ。
中村は笑いながら言った。「沙織さん、謙遜しすぎよ。私たちの団地で誰もが知っているわ、あなたの成績が優秀で、クラスでもトップクラスだってことを!だから今回のコンクールで京大の推薦枠は間違いなく獲得できるわ。」
そう言って、中村は続けた。「そうなれば、あなたは私たちの団地で初めての京大推薦合格者になるのよ!」
団地からは以前も推薦合格者が出ていた。
しかし、それは普通の重点大学だった。
西京大学は世界トップ10の名門大学の一つで、一般の人が推薦枠を獲得するのは不可能に近い!
もし城井沙織が推薦枠を獲得できれば、それは大きな栄誉となるだろう。
青葉市の新聞に載るほどの快挙だ。
小林綾乃は確かに城井沙織には及ばない。
田舎から来た村娘で、アルファベット26文字も完全には覚えていない。数学コンクールはおろか、青葉高校の編入試験に合格するのも至難の業だ。
小林綾乃のどこにそんな自信があるのか、理解できない!
そう考えながら。
中村は小林綾乃を一瞥した。
きれいな顔立ちが何の役に立つ?
小賢しさが何の役に立つ?
この社会では。
まず重視されるのは学歴と能力だ。
小林綾乃のような人は、卒業後まともな仕事さえ見つけられないだろう。
その時は皿洗いや掃除くらいしかできない。
一生出世できない。
城井沙織は優しい口調で、「中村おばさんのお言葉、ありがとうございます。精一杯頑張ります。」
中村はうなずいて、「二人の良い知らせを待っているわ。」
「はい。」と言って、城井沙織は続けた。「中村おばさん、それじゃあ私と従姉妹は先に帰ります。」
「ええ、お帰りなさい。」
城井沙織の後ろ姿を見ながら、中村は羨ましそうに言った。「桂美は本当に良い子を産んだわ!」