054:満杯の水は音を立てず、半分の水は音を立てる_2

小林桂美は考えれば考えるほど興奮してきた。

その言葉を聞いて、城井沙織の目には軽蔑の色が隠しきれないほど浮かんでいた。「王丸均は学年で300位にも入れないのに、どうやって競技の通知をもらえるというの?」

誰でも自分と肩を並べられると思っているの?

小林桂美は城井沙織を誇らしげに見つめながら言った。「沙織、これからは城井家の名を上げるのはあなたよ!」

小林桂美にはいつも不思議な第六感があった。

娘は普通の人間ではないと感じていた。

将来きっと大きな成功を収めるはずだと。

周知の通り、女性の第六感は常に最も鋭い。

だから。

この小さな青葉市もいずれは娘の天下になるはず。

そう言って、小林桂美は続けた。「そうそう沙織、今回の数学コンテストで上位20位に入れば特進クラスに入れるだけでなく、京大の推薦枠も抽選であるって聞いたけど本当?」

「うん」城井沙織は軽く頷いた。「でも確か3枠だけみたい」

京大の推薦枠は非常に貴重だった。

青葉高校のような優秀な学校でさえ、たった3枠しか割り当てられていない。

しかし、3枠しかなくても、城井沙織は必ず手に入れるつもりだった!

小林桂美は目を細めて言った。「今夜、おばさんとおじさんが家に来て食事するから、その時におばあちゃんに推薦枠の状況を聞いてもらおうかしら」

コネがあれば物事は上手くいく。

城井紅代のことは嫌いだけど、使える関係は使わない手はない。

城井沙織は自信満々に言った。「おばあちゃんに頼む必要はないわ。私が必ずその枠の一つを獲得するから」

そうでなければ、塾に通っている意味がない。

城井沙織は決して根拠のない自信を持つタイプではなかった。

小林桂美は笑いながら言った。「さすが私の娘!賢くて志が高いわね!」

その言葉を聞いて、城井沙織は気付かれないように眉をひそめた。

彼女が賢いのは自分の努力のおかげで、小林桂美となんの関係があるというの?

小林桂美ときたら。

彼女の努力を否定するだけでなく、すべての功績を自分のものにしようとしている。

城井沙織の美しい瞳に呆れの色が浮かんだ。母親のこの態度は下町の庶民と変わらない。やはり田舎者は、都会で何年暮らしても、その粗野な性質は変わらないものね!

おばあちゃんが彼女を軽蔑するのも無理はない。