053:永田徳本の後継者、大物の手腕(初回購読、1万字の章)

山下おばあさんは目を細めて、「いいわよ。でも、綾乃の同意を得なければならないわ」と言った。

安田振蔵をいきなり小林綾乃の前に連れて行くのは、あまりにも失礼だろう。

安田振蔵は頷いて、「では、よろしくお願いします」と言った。

青葉総合病院の院長として。

安田振蔵には二人の憧れの人物がいた。

一人は狂医の青木墨。

青木墨は有名な古医師の伝人の一人だった。

彼女は師匠の名を明かしたことはなかったが、神業のような漢方医術を持っていたため、皆は彼女が永田徳本の一族だと推測していた。

青木墨は医学に命を懸けており、かつてある伝染病の特効薬を見つけるため、自ら毒を試し、死にかけたこともあったが、それで特効薬の発見に成功した。

医学界に大きな足跡を残した。

そのため、皆は彼女を狂医と呼んでいた。