小林綾乃の言葉は淡々としていたが、一言一言が的確で説得力があった。
小林桂代は迷っていた。彼女は小林桂美の提案を受け入れて、スキンケアショップの仕事を辞めて皿洗いの仕事を探すことも考えていた。
女性にとって、何よりも大切なのは潔白さだからだ。
しかし、今小林綾乃のこの言葉を聞いて、急に体中に力がみなぎるのを感じた。
そうだ。
清らかな者は清らかなまま。
百円は永遠に百円の価値がある。人にどれだけ踏みにじられ、どれだけ噂されようとも、それらの外的要因によってその価値が変わることはない。
ただのクズ紙だけが外部環境に影響されるのだ。
もし今この時期にスキンケアショップに行かなくなれば、きっと後ろめたいから行かなくなったと思われるだろう。
そう考えて、小林桂代は小林桂美を見つめ、「綾乃の言う通りよ。この商売は続けるだけじゃなく、もっと良くしていかなきゃ!」と言った。
彼女は皆に証明したかった。自分はクズ紙ではないということを。
それを聞いて、小林桂美は呆れた。
小林桂代と小林綾乃の母娘がクズ紙でなくて何なのか?
クズ紙なら少なくとも火付けには使える。
二人とも、一人は捨てられた中古品。
もう一人は見栄っ張りな田舎娘。
小林桂美は小林桂代を見て、「お姉さん、自分を証明したいという気持ちはわかるけど、どうやって証明するの?今、商売なんてそんなに簡単にできるの?皿洗いの仕事は給料は安いけど、二人で青葉市で暮らすには十分でしょう。今、南通りで店舗を買ったとはいえ、貯金を食いつぶすわけにはいかないでしょう?」
考えるまでもなく、小林桂代は皿洗いの仕事が恥ずかしいと思っているのだろう。
でも字も読めない文盲の小林桂代に、どんな体面の保てる仕事があるというの?
しかし小林桂代は小林桂美の言葉に同意せず、眉をひそめて言った。
「綾乃の作るスキンケア製品は効果が良くて、最近は商売も順調よ。私たちは貯金を食いつぶすようなことはしないわ。」
この言葉を聞いて、小林桂美の目には嘲笑の色が浮かんだ。
商売が順調?
スキンケア製品の効果が良い?
小林桂代は夢でも見ているのか?
小林綾乃のような金髪のやつに、どんなスキンケア製品が作れるというの?
肌が荒れないだけでも観音様に感謝しないと。