054:満壺の水は音を立てず、半壺の水は音を立てる_4

まだ数問しか解いていないうちに、小林国史は頭を掻きながら「お姉ちゃん、分からない問題があるんだ。教えてよ」と言った。

小林綾乃は携帯を置いて、小林国史の側に歩み寄った。

小林国史のテスト用紙を見た時、彼女は頭を抱えた。

叔父さんと叔母さんは知識人だから、従弟の成績はきっと良いはずだと思っていた。

しかし予想外だった。

彼の成績は...

散々なものだった。

簡単な○×問題でさえ、いくつも間違えていた。

小林綾乃は思わずため息をついた。

三つの大問を教えた後、次は四字熟語の空欄補充だった。

()水()流。

小林国史は袖をまくり上げ、「お姉ちゃん、これは得意分野だよ!」

小林綾乃はほっと息をついた。やっとこの子の得意分野に出会えた。

本当に疲れた。

子供の宿題を見ていて心臓発作を起こす親の話がニュースになるのも無理はない!

「じゃあ、書いてみて」と小林綾乃は言った。

小林国史はすぐに筆を取った。

答えを見た時、小林綾乃は思わずこの子に親指を立てたくなった。

なんと、彼が書いたのは:(口)水(直)流!!!

天才!

そして小林国史は可愛らしい小さな頭を上げ、丸くて大きな目で小林綾乃を見つめ、褒められるのを待つような表情で「お姉ちゃん、すごいでしょ?」と言った。

小林綾乃:「...」

「正解は細水長流よ」

それを聞いて、小林国史は頭を掻きながら「え?違うの?」

彼は次の問題に取り掛かった。

次の解答に小林綾乃は呆気にとられた。

四字熟語の空欄:五()四()。

この子は突飛な発想で「五八四十」と書いた。

正解のようで。

でも違うようで。

小林綾乃自身も自信がなくなってきた。

小林綾乃の表情を見て、小林国史は恐る恐る「お姉ちゃん、また間違えた?」と尋ねた。

「五八四十は九九の掛け算よ。これは四字熟語の問題だから、もう一度よく考えてみて」

小林国史は首を傾げながら一生懸命考えた。

丸一時間かかってようやくテスト用紙の半分を終えた。

小林綾乃はくたくたに疲れていた。

しばらくして、大川素濃と小林桂代が店から戻ってきた。

小林綾乃が小林国史の宿題を見ているのを見て、大川素濃は笑いながら「綾乃、果留の学習能力はどう?」と聞いた。

それを聞いて、小林国史は得意げに顔を上げ「お姉ちゃんが、七竅六竅通ってるって!」