まさか...
小林綾乃が読めるのか?
そう考えると、大川校長は喉を鳴らした。
しばらくして、大川校長は一番近くにいる馬場主任に緑の表紙の本を渡し、声を潜めて言った。「見てください」
馬場主任は手を伸ばして緑の表紙の本を受け取った。
一目見て、彼も呆然とした。
大川校長は続けて言った。「この文字が何なのか分かりますか?」
馬場主任は首を振って、「英語でもなく、韓国語でもなく、日本語にも見えません...」
とにかく不思議だった。
大川校長は複雑な表情で小林桂代の方を向いて、「小林お母さん、綾乃さんはよくこの本を読んでいますか?」
「はい」小林桂代は笑顔で答えた。
大川素濃がキッチンから洗った果物を持って出てきて、続けて言った。「校長先生、その本の文字が読めないんですか?」
認めたくはなかったが、大川校長は頷いて「読めません」と答えた。
大川素濃は続けて言った。「校長先生だけじゃなく、私たちも読めないんです。でも綾乃は面倒くさがりなのに、毎回真剣に読んでいるんですよ!」
これを聞いて、他の先生たちも興味を持ち、みんなでその緑の表紙の本を覗き込んだが、しばらく研究しても、どんな文字なのか分からなかった。
「小林さんは本当に博学多才ですね!」大川校長は突然、青葉高校に綾乃という大物を受け入れることに不安を感じた。
田中先生が続けて言った。「綾乃さんは?呼んで聞いてみましょうか」
小林桂代は笑って言った。「まだ寝ているので、今から呼んできます」
元々入ってきたときに綾乃を起こそうと思っていたが、忙しくて忘れていた。
校長はすぐに小林桂代を止めた。「いいえ、綾乃さんにゆっくり休ませてあげましょう!この期間、試験の準備で疲れているはずです。彼女が起きてから、入学手続きの件を話し合いましょう」
校長がそう言うなら、小林桂代もこれ以上主張しなかった。
そして校長の言う通りだった。
綾乃が一位を取れたのは、この期間相当頑張ったからに違いない。
しかも美人亭の仕事も両立していた。
30分後、小林強輝が急いで帰宅し、校長と話を始めた。綾乃の賢さについて話題になると、小林強輝の顔には自信に満ちた表情が浮かんだ。
得意げな様子だった。
午前10時、綾乃は起床して身支度を整えた。
二階の寝室には小さな浴室が付いていた。