057:どんな神様の大物、西京の徳川家_3

しかし今日!

まさか田舎娘に補習を受けることになるなんて。

小林綾乃なんて何者だと思ってるの?

そんな資格があるはずないでしょう?

城井沙織は怒り爆発寸前だったが、笑顔を作って言った。「田中先生、申し訳ありませんが、今晩はダンスの級別試験があるんです。」

それを聞いて、田中先生は少し残念そうに「まあ、いいでしょう。あなたたちはいとこ同士なんだから、これからも機会はたくさんありますよ。」

「はい。」城井沙織は頷いて「その通りです。」

そう言って、城井沙織は続けた。「田中先生、他に用事がなければ、母と一緒に帰らせていただきます。」

「ええ、お帰りなさい。」

城井沙織は逃げるように集合住宅の中へ入っていった。

家に帰ると。

すぐに自室に駆け込み、ドアを閉めて声を上げて泣き出した。

小林桂美も城井沙織を慰める気持ちにはなれず、リビングのソファに座って深いため息をついた。

城井お母さんも表情が良くなく、小林桂美を指差して言った。「あなたのしたことを見てごらんなさい!今頃外の人たちはどんな風に私たちのことを笑っているか分からないわ。どうやって収拾するつもり?」

小林桂美が大騒ぎをして、確認もせずに城井沙織の推薦入学の件を皆に言いふらさなければ、こんなことにはならなかったのに。

城井定邦は眉をひそめて「お母さん、これを全部桂美のせいにするのは違うでしょう?」

城井お母さんは城井定邦を見て「こんな時になってまで彼女をかばうの!沙織は年が若くて分からないのは仕方ないけど、彼女だって若くないでしょう!それに、彼女の姪っ子だってろくな者じゃないわ!」

小林綾乃がいなければ、城井沙織がみんなの前でこんな大恥をかくことはなかったのに。

思春期の子供は非常に敏感だ。

このことは必ず城井沙織の心に影を落とすだろう。

そう言って、城井お母さんは続けた。「あんな田舎娘が沙織より優秀なはずがない!きっと何か後ろ暗いことをしているに違いないわ!」

そう。

きっとそうに違いない。

城井お母さんは考えれば考えるほど、自分の分析が正しいと確信した。

田舎の教育なんてたかが知れている。小林綾乃は見た目からして賢そうじゃないのに、どうやって城井沙織を追い抜けるというの?

まったくの夢物語だわ。