054:満壺の水は音を立てず、半壺の水は音を立てる_6

山口が二人が来るのを見て、笑顔で言った。「小林さん、大川さん、来ましたね。」

「おはよう、山口さん。」二人は山口に挨拶した。

山口は続けて言った。「割引カードとチラシは印刷が終わりました。店まで運びますね。」

小林桂代は鍵を持って開けながら、「山口さん、ご苦労様。」

「いいえ、大したことないです。」

そう言うと、山口は荷物を全部店の中に運び入れた。

大川素濃は二つの大きな看板を店の入り口に置いた。

田中麗子もちょうどその時に店を開けに来て、大川素濃が看板を置いているのを見ると、すぐに手伝いに行った。「素濃さん、本当に店を移転するんですか?」

昨日の契約解除の時に田中麗子もその場にいたが、それでもまだ事態が突然すぎると感じていた。

しかも、彼女は暇な時はいつも大川素濃や小林桂代とおしゃべりをしていたので、二人が引っ越してしまうと、これからおしゃべりするのも不便になる。