057:どんな神様の大物、西京の徳川家_6

その瞬間、小林桂美は大川素濃の口を引き裂きたいほど腹が立った。

あんなに得意げな様子を見せやがって。

知らない人は小林綾乃がすごいと思うかもしれないけど。

実際はただのカンニング野郎だ。

心の中ではそう思っていたが、小林桂美はポケットから用意しておいたお金を取り出し、「もちろん覚えているわ、素濃さん。私はいつも言っているでしょう、勝っても負けても潔く受け入れる人間だって」

「お姉さん、太っ腹ね」大川素濃は遠慮なくお祝い袋を受け取った。

続いて中村さんと木下おばあさんもお祝い袋を出した。

大川素濃とは違って、二人は心から喜んでお祝い袋を渡していた。

小林綾乃がこんなに優秀なら、近所の人たちにも恩恵があるだろうと。

得意げな大川素濃を見て、小林桂美は目を細め、突然口を開いた。「素濃さん、もう一度賭けてみない?」