057:なんて凄い大物、西京の徳川家

「小林綾乃、おめでとう」

「一位?」

その瞬間、空気が凍りついた。

特に城井沙織は、顔が真っ青になり、大川校長を見つめたまま、目には信じられない色が浮かんでいた。

いいえ。

そんなはずない。

小林綾乃が一位なんて、どうして?

あの田舎者が!

彼女にそんな資格があるはずない!

小林桂美も呆然として、大川校長を見つめながら、なんとか冷静を保とうとして言った。「あの、間違いではないでしょうか?」

「間違い?」大川校長も驚いて、「城井沙織は小林綾乃の従妹ではないのですか?」

田中先生は眉をひそめた。

城井沙織がクラスメートにそう言っていたはずなのに。

どうして間違えるはずがあるのか?

城井お母さんはすぐに城井沙織の前に立ち、大川校長を見て言った。「うちの沙織の推薦入学のお知らせではないのですか?」

推薦入学?

田中先生は笑いながら言った。「城井おばあさん、沙織さんは今回の数学コンクールでは確かに良い成績を収めましたが、推薦入学にはまだ少し足りません。もう少し頑張る必要があります。私たちは今日、小林綾乃さんに会いに来たのです。」

この言葉を聞いて、城井お母さんは息ができなくなりそうになり、その場で倒れそうになった。

彼らは大々的に校長を出迎えるために階下に降り、団地の住民全員に城井沙織が推薦入学を獲得したという良い知らせを伝えていたのに…

しかし今。

主役が小林綾乃に変わってしまった。

こうなると。

彼らは笑い者になってしまう。

小林綾乃の引き立て役という笑い者に!

城井お母さんは必死に踏ん張って立っていた。彼女は一生を品位ある人として生きてきて、息子も娘も立派に育て上げた。

孫娘も優秀だった。

城井沙織が城井家の名を上げてくれると期待していた。

まさか、生きているうちにこんな大恥をかくことになるとは。

しかも、すべての近所の人々の前で。

ああ、神様!

いっそ死んでしまいたい。

大川素濃はすぐに事情を理解し、すぐに前に出て笑いながら言った。「大川校長さんですね?私は小林綾乃の叔母です。こちらが綾乃の母です!」

彼女は傲慢な者には天罰が下ると知っていた。

小林桂美一家は大騒ぎしたのに、一位を取ったのは小林綾乃だった。

そう言いながら、大川素濃は小林桂代の手を取った。