059:正体暴露、貴人の助け_6

山本世月はマニキュアを塗りながら、娘の方を見上げて言った。「デートでもないのに、そんなにお洒落する必要ある?」

渡辺麗希は呆れ気味に言った。「ママ、普通の親は子供の早恋を心配するのに、ママは逆に私に早く恋愛してほしいみたいね」

山本世月の心理は分からなかった。

幸い、麗希は恋愛に興味がなかった。

もしそうでなければ、今頃子供がいたかもしれない。

そう言って、渡辺麗希は続けた。「ママ、私はもうすぐ高校三年生よ。人生で一番大切な時期なのに!恋愛で大学に行けなくなったらどうするの?」

「行けなければそれまでよ」山本世月は無関心そうに言った。「どうせうちはお金があるんだから」

そのお金があれば、渡辺麗希は何世代も怠けて暮らせるほどだった。

山本世月は開放的な親だった。

子供を縛り付けるような性格が嫌いだった。