小林綾乃のことについては。
大学入試の後で、きっと本性を表すはずだ。
青葉高校の試験では不正行為ができたが。
大学入試では不正行為はできないだろう。
「うん」秋山春樹は頷いた。
彼は母の期待を裏切らないと確信していた。
藤原巧は何かを思い出したように、秋山春樹を見て言った。「小林綾乃は必ず青葉高校に合格したことを口実にあなたに近づこうとするわ。気をつけなさい!」
秋山春樹はイケメンで、青葉市の地元出身で、成績も良く、将来有望で、多くの女子生徒の憧れの的だった。
彼女の息子は小林綾乃なんかには相応しくない人物だ!
秋山春樹は再び頷き、「母さん、塾に行ってきます」と言った。
「行ってらっしゃい」
息子の後ろ姿を見つめる藤原巧の目には誇らしげな表情が浮かんでいた。
——
その頃。
西京にて。
今日は鈴木澪由の誕生日で、朝早くから山下おばあさんと一緒に近くの紅葉寺へ徳川秋水のために祈願に行った。
祈願の後。
鈴木澪由は仏像の前に跪き、おみくじ筒を手に取り、とても敬虔な様子で言った。「慈悲深い観音様、私の娘の徳川秋水は36年前から行方不明になっています。この36年間、私は娘と再会できることを一瞬も忘れたことはありません。仏様、私に道を示してください。今生で、私は娘に会える望みがあるのでしょうか」
言い終わると、彼女は目を閉じ、おみくじ筒を振り始めた。
ぱたり。
しばらくすると、一本のおみくじが床に落ちた。
山下おばあさんはすぐに床に落ちた竹のおみくじを拾い、「澪由さん、出ましたよ」と声をかけた。
鈴木澪由は目を開け、山下おばあさんの手の中のおみくじを見て、仏像に向かって一礼し、やっと立ち上がった。
山下おばあさんは鈴木澪由におみくじを渡した。
おみくじを引いて解釈を求めに行った。
第二十六番。
中平。
山下おばあさんは鈴木澪由の傍らに立ち、おみくじの内容を読み上げた。「心労し努力して成功を望むも、花開かんとする時に一陣の風、東君の力を借りてこそ、望みの中に一枝の紅あり」
このおみくじの意味は明らかに、人が夢のために努力し奮闘し、多くの犠牲を払っても、結局は水の泡になるということだ!
これはまさに近年の鈴木澪由と徳川勝の状況ではないか?