その言葉を聞いて、山下おばあさんは眉をひそめたまま、「野良犬が死んだのを見て泣くの?」
感情的な人を山下おばあさんは見たことがないわけではない。
しかし、鈴木赤玉ほど感情的な人は初めて見た。
野良犬は確かに可哀想だが、結局小さい頃から育てた犬ではない。自分が育てた犬が死んで大泣きするのは人情だが、何の感情的な繋がりもない状態で、鈴木赤玉がどうやって泣けたのか分からなかった。
鈴木澪由は頷いて、「そうなんです」
山下おばあさんは目を細めて、「彼女は本当に多愁善感な子ね」
そう言い終わると、山下おばあさんは続けた:「でも、偽物っぽく感じないかしら?」
山下おばあさんも犬が大好きだった。
昔は飼っていた。
ペット犬が死んだ日、彼女は一日中泣いて何も食べず、二度と犬を飼わないと誓った。