鈴木赤玉の心に重くのしかかっていた大きな石が、小口貞那の言葉を聞いて、ようやく地に落ちた。
徳川勝が無事でよかった。
小口貞那は鈴木赤玉の方を向き、口角に薄い笑みを浮かべた。「赤玉、あなたのような孝行な姪がいるのは、叔母さんと叔父さんの幸せよ」
幸せ?
その言葉を聞いて、鈴木赤玉は俯いた目の奥に寂しげな表情を浮かべた。
彼女は鈴木澪由と徳川勝に孝行を尽くしていた。
決して逆らうことはなかった。
何事も彼らの意向に従っていた。
他人でさえ、実の娘でもここまでできないだろうと言うほどだった。
しかし鈴木澪由と徳川勝は、それを幸せだとは思っていなかった。
彼らは彼女の気持ちを考えることなく、常に徳川秋水のことばかり考え、彼女を徳川グループの内部に入れることさえ許さなかった...