060:仮面を見破る山下おばあさん_3

顔には薄いベールがかかったように見え、神秘的な雰囲気を醸し出していた。

来客を見て、鈴木赤玉は即座に立ち上がり、興奮した様子で「吉田おばさん、やっと来てくださいました」と言った。

小口名医の本名は小口貞那だった。

彼女は十年前、娘を探す途中で鈴木澪由と知り合った。

その時、鈴木澪由は珍しい感染症に罹っていた。

四十度の高熱を出していた。

死にかけていた。

もし小口名医が時機を得て救助していなければ、とうに黄泉の客となっていただろう。

そのため。

彼女は小口貞那を深く信頼していた。

それを聞いて、小口貞那は頷き、「徳川おじいさんの状態は絢から聞いています。大した問題ではないので、そんなに心配する必要はありませんよ」と続けた。

言い終わると、小口貞那はベッドの前に歩み寄り、床に跪いている鈴木澪由の手を取って、「床が冷たいわ、早く立って!」