067:高額の帝王緑、余計な詮索はするな!

鈴木澪由は山田絹美の死亡証明書を見つめ、しばらくしてから溜息をついた。

あの年、弟が亡くなった後、山田絹美は大金を持って逃げ出し、かわいそうな子供を置き去りにした。

誰が想像できただろうか。

わずか数年で、彼女は交通事故で亡くなってしまうとは。

まさに因果応報だ。

悪人には必ず報いがある。

鈴木澪由から正確な答えを得た山下おばあさんは目を細め、執事を見上げて言った。「中村執事、山田絹美の死後、誰が彼女の後事を処理したか調べましたか?」

山田絹美は死んだが、他の親族がいないとは限らない。

山田絹美の親族は鈴木赤玉の親族でもある。

「山田絹美の弟の山田勇です」と執事は答えた。

「赤玉はこの数年、この叔父と連絡を取っていましたか?」

母方の叔父は重要な存在。

姪のために良い暮らしをさせようと、山田勇が危険を冒すことも考えられる。

執事は首を振って、「山田勇は山田絹美の後事を済ませた後、家族で麗国に移民しました。この数年間、お嬢様は彼らと一切連絡を取っていません」と答えた。

ここでのお嬢様とは当然、鈴木赤玉のことである。

国外へ?

山下おばあさんは目を細めて、「秋水の事件の前ですか、後ですか?」と尋ねた。

タイミングが重要だ。

もしかしたら山田勇は罪を恐れて逃亡したのかもしれない。

執事は続けて言った。「お嬢様の事件の前です」

山下おばあさんは黙り込んだ。

瞳の奥に深い思考が浮かんでいた。

山田勇が早くから国外に移住していたのなら、この件は山田勇とも無関係ということになる。

この時、山下おばあさんは自分の第六感を疑い始めていた。

山田絹美も山田勇も問題ない。

ならば鈴木赤玉にも問題があるはずがない。

みんな問題がないのなら。

問題があるのは誰なのか?

山下おばあさんは自分が迷宮入りしたような感覚に陥った。答えは目の前にあるはずなのに、どうしても掴めない。

しばらくして。

山下おばあさんは執事を見て、さらに尋ねた。「山田絹美には弟が一人だけですか?」

執事が答える前に、鈴木澪由が頷いて言った。「はい、山田絹美の両親は早くに亡くなり、彼女にはこの弟一人しかいません」

それを聞いて、山下おばあさんはこめかみを押さえ、頭痛を感じた。

もしかして徳川秋水は本当に人さらいに連れ去られたのか?