067:高額の帝王緑、余計な詮索はするな!_2

その言葉を聞いて、鈴木赤玉の心臓が早鐘を打った。

鈴木澪由は相続の件について話そうとしているのだろうか?

そうでなければ。

なぜこんなにも厳かな様子なのだろう?

書斎で話をする必要があるのだろうか?

そう。

きっとそうに違いない。

長年の待ちわびた努力が実を結ぶと思うと、鈴木赤玉は興奮を抑えきれず、鈴木澪由の後を追った。

書斎に着くと、鈴木赤玉はドアをしっかりと閉めることも忘れなかった。

「おばさま、何かお話があるのですか?」

鈴木澪由は書斎の椅子を指差して、「座りなさい」と言った。

鈴木赤玉は鈴木澪由の前に座った。ついにこの日が来たと思うと、少し緊張していた。

なぜなら。

もうすぐ彼女は徳川家の当主になるのだから。

今日からは高い地位にある徳川当主になれると思うと、鈴木赤玉の心は喜びで一杯だった。

ついにこの日が来た!

そうだ。

いくつかの計画を実行に移せる時が来たのだ。

そのとき、鈴木澪由は淡々と口を開いた。「赤玉、あなたに話したいことがあるの。でも、心の準備をしておいてね」

「はい、おばさま」鈴木赤玉は必死に落ち着きを取り戻そうとした。

鈴木澪由は続けた。「あなたのお母さんの山田絹美は29年前に交通事故で亡くなって、多摩霊園に眠っているの。時間があったら、お参りに行ってあげなさい」

死者に対する敬意。

山田絹美はもう亡くなっているのだから、鈴木澪由は過去のすべてを水に流す覚悟だった。

彼女は鈴木赤玉を育てる恩義は果たせなかったが、それでも赤玉は彼女が産んだ子供だ。

今、鈴木赤玉がお参りに行くことは、生みの親への恩返しになるだろう。

そのため一晩考えた末、鈴木澪由はこのことを鈴木赤玉に告げることにした。

娘として。

彼女にはこのことを知る権利がある。

その言葉を聞いて。

鈴木赤玉は頭から冷水を浴びせられたような気分になった。

頭から足先まで冷え切った。

彼女は鈴木澪由が相続の話をすると期待していた。

しかし鈴木澪由の話は全く関係のない内容だった。

鈴木赤玉は目に宿る思いを押し殺し、鈴木澪由を見上げた。「おばさま、私を捨てた時点で、もう彼女とは何の関係もありません」