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南通り。
今日は美人亭が店を移転する最後の日だった。
大川素濃と小林桂代は店の入り口に立って、列に並んでいるお客様に割引券を配っていた。「申し訳ございません。本日の商品は全て完売いたしました。明日は西南の265番と266番に移転いたしますので、この割引券をお持ちいただければ、2割引でお買い求めいただけます!」
今まではタピオカミルクティーやスーパーの割引卵だけが品切れになっていた。
スキンケア製品が品切れになるのは初めてのことだった。
「店長さん、新店舗では在庫を増やしてくれるんですか?そうでないと、並んでも意味がないですよ!」
「そうそう、買えないのに、この割引券何の意味があるの?」
この問題について、小林綾乃はすでに考えており、対策も用意していた。
大川素濃は笑顔で皆に説明した。「ご安心ください。オーナーが言うには、新店舗のオープン初日は、割引券をお持ちのお客様を優先的に販売させていただくそうです。」