069:独断専行_3

あいにく。

白川露依はまだ反応できていなかった。

——

一方。

南通り。

美人亭の新店。

明日オープンするため、準備することがたくさんあった。

大川素濃は数人の作業員に新しい店の看板を入り口の上に取り付けるよう指示していた。「左側にもう少し、そうそう、そこでいい。」

小林桂代は帳簿を見ながら、隣にいる小林綾乃の方を向いて言った。「綾乃、私たちの店も開店して2ヶ月になるわ。今日、おばさんと会計を清算しましょう。」

大川素濃はいつも「お金に困っていない」と言っていたので、今まで事前に約束していた利益配分をしていなかった。

それを聞いて、小林綾乃は軽く頷いた。「いいわよ、お母さん。開店以来の売上はいくらになるの?」

小林桂代は帳簿の数字を見ながら、「売上は合計で4,820万円、家賃と光熱費、人件費を含めておばさんに支払う分が800万円よ。」

美人亭は2ヶ月余り営業していて、開店直後の数日間は売上が低迷していたものの、その後は徐々に良くなり、毎日行列ができるようになって、1日の売上も100万円を超えるようになった。

以前なら、小林桂代はこれほどの数字を見て目を丸くして驚いただろう。

でも今は違う。

今の彼女は文字が読めるようになり、以前は触れることのなかった多くのものに触れるようになった。4,820万円は多く見えるが、一線都市のマンション一軒も買えない金額だ。

彼らはまだ頑張らなければならない!

小林綾乃は携帯を置いて、「お母さん、違約金のことも忘れないでね。」

違約金は売上には含まれないが、当初店舗を借りる時に大川素濃もお金を出したので、この5,000万円からも20パーセントを大川素濃に分配しなければならない。

違約金?

小林綾乃が言わなければ小林桂代は本当に忘れていたところだった。それを聞いて、すぐに笑顔で言った:「そうそう、5,000万円の違約金もあったわね。違約金を含めると、合計1,800万円ね。」

小林桂代はほとんど計算もせずに、すぐに数字を言い当てた。

簡単な計算とはいえ。

小林綾乃は少し驚いた。以前の小林桂代は数字に疎かったからだ。「お母さん、最近計算が上手くなったわね。」

小林桂代は笑いながら言った:「綾乃、そろばんを知ってる?」

「知ってるわ。」小林綾乃は軽く頷いた。