「この二人?」
「知り合い?」
源緒雨は反応が追いつかない感じがした。
しばらくして、彼女は呆然と鈴木慧子を見つめ、「この人があなたの彼氏?」
「そうよ」鈴木慧子は幸せそうに笑った。
源緒雨は雷に打たれたようだった。
彼女は、鈴木慧子の彼氏が地元の人でBMWに乗っているとは思わなかった。
鈴木慧子はそれほど綺麗じゃないのに。
彼氏は目が見えないのか?
誰を選んでもいいのに、なぜこんな人を!
鈴木慧子は木下昭の方を向いて、「こちらは私のルームメイトの源緒雨よ」と紹介した。
木下昭は源緒雨を見て、礼儀正しく「はじめまして、木下昭です」と言った。
「こんにちは」源緒雨は明るい笑顔を浮かべ、「雨子って呼んでください」
木下昭は丁寧に「彼女がお世話になっています。ありがとうございます」と言った。
「どういたしまして」源緒雨は答えた。
木下昭は腕時計を見て、「もう遅いので、彼女を仕事場まで送らないと」と言った。
そう言うと、助手席のドアを開け、鈴木慧子を丁寧に乗せた。
とても細やかな気遣い。
源緒雨は見ていて嫉妬を感じた。
どうして自分にはこんな素晴らしい男性と出会えないのか?
鈴木慧子は助手席に座り、窓を下げて「雨子、さようなら」
「さようなら」
雨子も笑顔を見せたが、車が視界から消えると同時に、その笑顔は消え去った。
ちっ!
たかがBMWじゃない!
鈴木慧子は何を得意になってるの?
待ってなさい!
いつか木下昭に振られる日が来るわ。
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連続三日間、皇妃物語の商売は非常に好調で、毎日早朝から行列ができた。
古川月と中村忠正は毎日遅くまで働いていた。
二人は南通りに二号店を出す計画を立て始めていた。
まだ午後三時だというのに、皇妃物語の商品は完売した。
皇妃物語に毎日行列ができるため、大谷食堂の商売も悪くなく、美人亭の商売が日に日に悪くなっているのを見て、馬場沙保里は心の中で快感を覚えた。
彼女は皇妃物語に来て、声を上げた。「古川姉さん、すごいいいニュースよ!」
店に新しい商品が入ったばかりで、古川月は商品の整理をしていたが、それを聞いて馬場沙保里の方を向いた。「どんないいニュース?」