070:光速で顔面打撃、報いが降りかかる_2

「たとえ彼女を殴ったとしても、得にはならないわ。警察が来たら、私たちが医療費を払わなければならなくなるだけよ。意味がないわ」

暴力は問題を解決するどころか、双方に損害をもたらすだけだった。

小林桂代は和を以て財を成すことを主張する人だった。

大川素濃は深く息を吸い、必死に冷静さを取り戻そうとした。

大川素濃が怒り心頭の様子を見て、小林桂代は続けて言った。「素濃さん、綾乃の言うことにも一理あるわ。人は自分の感情をコントロールする術を学ばなければならないの。感情すら制御できない人が、どうして大きな事を成し遂げられるでしょう?私たちの美人亭の道のりはまだまだ長いわ。これからこういうことは増えこそすれ、減ることはないでしょう。慣れていかなければならないわ」

これは本当に、字も読めなかったあの小林桂代なのだろうか?