073:擁護_3

大川素濃は続けて言った。「あの件について考えはまとまった?」

小林強輝が話す前に、大川素濃は傍らに立っている息子を見て、「お風呂に行きなさい。明日も学校でしょう」と言った。

「はい」小林国史は素直に服を取りに行って、お風呂に向かった。

息子の後ろ姿を見ながら、小林強輝はポケットからタバコを取り出して火をつけ、しばらくしてから「母さんは、この件が本当だと確信してるの?」と言った。

彼はまだ、姉と血のつながりがないという事実を受け入れられなかった。

大川素濃は「信じられないなら、今すぐ母さんを呼んでくるわ」と言った。

そう言って、彼女は立ち上がろうとした。

小林強輝は彼女の手を掴んで、「この時間、母さんはもう寝てるだろう。お年寄りを起こすのはよくない」と言った。

大川素濃は小林強輝を見つめて、「じゃあ、あなたは今どう考えているの?」と尋ねた。

小林強輝は頭の中が混乱して、「わからない」と答えた。

「強輝、お姉さんがこのことを知ったら、もう弟として認めてくれなくなるとか、疎遠になるとか、そういうことを心配してるの?」大川素濃は探るように聞いた。

「そんなことない!」小林強輝は即座に否定した。

大川素濃は「じゃあ、なぜこの話題を避けようとするの?」と言った。

小林強輝はタバコを深く吸い込んで、ため息をつきながら「ただ、すぐには消化できないんだ」と言った。

そう言って、彼は大川素濃を見つめ、「碧、俺でさえ消化できないことを、姉さんがすぐに受け入れられると思うか?」と言った。

小林強輝の言葉はもっともだったが、大川素濃はそれでも「でも、一つ考えてみて。もしお姉さんが誘拐されて来たとしたらどうする?もしかしたら、今でも家族が探しているかもしれないわ!」と言った。

もし彼らが真実を知っていながら小林桂代に告げないとすれば、永遠に埋められない後悔を生むかもしれない。

母親としての立場から、大川素濃はそうなることを望んでいなかった。

「じゃあ、もし姉さんが捨てられた子だったら?」小林強輝は尋ねた。

小林桂代の人生の前半は暗闇に満ちていた。やっと良い生活を送れるようになった今、弟として、小林強輝は姉にもう一度苦痛を味わわせたくなかった。

「姉さんには俺たち家族がいれば十分だ!」小林強輝は言った。