074:まさかこんなに使えるなんて、白川露依は後悔!

一言を言い終えると、秋山春樹はそのまま小林綾乃を見つめていた。

諺にもあるように。

一つの嘘をつくには百の嘘で取り繕わなければならない。彼は小林綾乃がどのように言い訳をするのか見てみたかった。

「渡辺麗希よ、会ったことがあるはずでしょう」小林綾乃は淡々とした口調で言った。

渡辺麗希?

秋山春樹は眉をひそめ、何かを思い出したように「SNSで見かけたあの女の子?」と尋ねた。

「そう」

言い終わると、小林綾乃は続けて「先に行くわ」と言った。

秋山春樹は小林綾乃の去っていく後ろ姿を、複雑な表情で見つめていた。

小林綾乃は本当に渡辺麗希に会いに行ったのだろうか?

どうしてこんなに都合よく?

あんなに綺麗な服装で、渡辺麗希に会いに行くときに、たまたま自分に会うなんて?

ありえない!