しばらくして、彼女は小林綾乃を見つめ、「綾乃、さっき私に話したいことがあったでしょう?」
「私が話したかったのはこのことです。」そう言って、小林綾乃は続けた。「私はもう寝ます。お母さんも早く休んでください。」
言うべきこと、言うべきでないこと、すべて話してしまった。
小林桂代は頑固な人間ではなかった。
今夜のことがあれば、小林桂美とどのような距離感を保つべきか、きっと分かるはずだ。
部屋に戻ってから。
小林綾乃はすぐには寝ずに、改造したパソコンを開いた。
アカウントにログインしたばかりのとき。
メッセージが一通届いた。
秋山傲からだった。
[ようやくオンラインになりましたね。]
[話せ。]
秋山傲は相手から送られてきた一文字を見て、苦笑した。
これは大物らしい態度だ。
秋山傲は続けて返信した。[30年前の海難事故の調査を依頼されました。しかも、あなたに指名で。]
小林綾乃の返事を待たずに、秋山傲はさらにメッセージを送った。[報酬は100万です。引き受けますか?]
[引き受ける。]
小林綾乃からのメッセージを見て、秋山傲は一瞬驚いた。彼はこの種の事件に興味がないと思っていた。
まさか...
大物が引き受けるとは。
[分かりました。では今から依頼者に連絡して、具体的な資料を送ってもらいます。]
小林綾乃はもう返信しなかった。
一方。
秋山傲は伸びをして、横でカップラーメンを食べている中年男性に向かって言った。「どう思う?」
「何が?」中年男性は困惑した表情を浮かべた。
秋山傲は続けた。「ピンクスネークが依頼を受けたんだ。」
それを聞いて、中年男性は手のカップラーメンを置いた。「本当か?」
秋山傲は頷き、顎を撫でながら言った。「信じられないだろ?私も本当に驚いたよ!」
中年男性は尋ねた。「820号船難事件?」
「ああ。」
秋山傲は目を細めて、「ピンクスネークがこういう事件を引き受けなくなってどれくらい経つかな?断るかと思ったのに、まさかね!本当に予想外だった!」
中年男性は頷いた。「正直言って、もう現れないなら、X組から退会するんじゃないかと思っていた。」
X組。
和国で最も謎に包まれた組織。
X組が知りたくない真相はなく、X組が解明できない真相もない。
その中で。