だから、小林桂代がこのことを知っても、今まで通り小林強輝を実の弟として扱うだろう。
小林強輝は軽くため息をついた。
妻の言う通りだ。
どうあれ、姉には真実を知る権利がある。
これは小林桂代の人生だ。
彼は小林桂代の代わりに決めることはできない。
「わかった」小林強輝はタバコの煙を吐き出し、「君の言う通りにしよう」
夫がついに心の結び目を断ち切ったのを見て、大川素濃もとても嬉しかった。心に秘密を抱えていたため、この数日間、小林桂代の顔をまともに見ることができなかったのだ。
「じゃあ、明日お姉さんに話しに行くわ」
「待って」
大川素濃は呆れて、「また後悔したの?」
「いや、そうじゃない」小林強輝は吸い殻を灰皿に押し付けながら、「もうすぐ姉さんの誕生日だから、その日に話したいんだ」