数歩歩いたところで、松本楠敬が突然横から飛び出してきた。
渡辺麗希は驚いて、足を上げて彼を蹴った。「病気なの?」
松本楠敬は呆れて、「渡辺お嬢様はそんなに度胸がないの?」
渡辺麗希は相手にする気がなかった。
彼には彼女がいるのに、なぜ自分の前でじゃまをするのか分からなかった。
松本楠敬は彼女の後を追いながら、「ネットカフェから帰る途中でここを通りかかったんだ」
そう言いながら、松本楠敬は渡辺麗希の手に目を向けた。「それは何?」
「綾乃のお母さんがくれた辛口しいたけ牛肉味噌だよ」
ちょっとした親切でこんなに喜ぶなんて。
この子は本当に頭が悪い。
松本楠敬は眉をひそめて、「渡辺お嬢様、本当の話だけど、あなたの友達は良い人には見えないよ」
「誰が良い人じゃないって?」渡辺麗希は眉をひそめた。「松本楠敬、あなた神経病よ!」