076:約束、衝撃!

ちょうど山下おばあさんも明日美人亭に行く予定だったので、小林綾乃にこの件について話すことができそうだった。

山下おばあさんから明確な返事をもらった安田振蔵は大変興奮し、何度も「おばあさん、よろしくお願いします」と感謝の言葉を述べた。

「どういたしまして」

ここまで話して、安田振蔵は何かを思い出したように続けた。「おばあさん、明日先輩にお会いになったら、私たちのチームがIS細胞実験で少し問題に直面していて、ご指導いただきたいとお伝えいただけませんか」

「IS細胞実験?」普段から科学研究実験に関心を持っている山下おばあさんは興味深そうに尋ねた。「再生細胞に関することですか?」

安田振蔵は最初、山下おばあさんが正確に伝えられるか心配していた。これらは全て医学の専門用語なのに、山下おばあさんが再生細胞のことを知っているとは思わなかったからだ。

それを聞いて、彼はすぐに頷き、笑顔で言った。「はい、その通りです。再生細胞のことです!もしこの実験が成功すれば、白血病の克服に希望が見えてきます」

「分かりました」

電話を切った後、安田振蔵の学生である木下斌がすぐに尋ねた。「先生、あの大物の方は承諾してくれましたか?」

安田振蔵は院長であり、有名な医科大学の博士課程指導教授で、現在何人もの学生を指導している。

木下斌は安田振蔵の最も優秀な学生で、学部から修士、博士まで一貫して彼の指導を受けている。

安田振蔵は携帯電話をしまいながら、「山下おばあさんは明日返事をくれるそうだ」と言った。

それを聞いて、木下斌の目に失望の色が浮かんだ。

しばらくして、彼は安田振蔵を見上げて「先生、大物の方は私たちに会ってくれるでしょうか?」と尋ねた。

安田振蔵は目を細めて「分からないな」と答えた。

一部の大物は生まれつき気難しい性格で、特に年を取ってからはそうだ。

そして安田振蔵から見れば、医術の深い人は皆、様々な苦労を経験している。若者は経験不足で、試練に耐えられず、そのような能力を持ち合わせていないのだ。