二人は夫婦のようで、手を取り合い、品定めするような目つきをしていた。
小林桂美は目が利く方で、この男女が並々ならぬ身なりをしていることを一目で見抜いた。
女性が持っているバッグだけでも数百万円はするはずだ!
それだけではない。
二人の気品も抜群で、小林桂美はスーパーを経営してこれまで、高級ブランド品と気品が釣り合う人を見たのは初めてだった。
突然の成金のように、高級ブランドを身にまとっていても、教養の無さでブランド品が様にならない人とは違う。
この二人はきっと青葉市の上流階級に違いない!
そう思うと、小林桂美はすぐに気を引き締めて、笑顔で「いらっしゃいませ。何をお求めですか?」と声をかけた。
その時になって、小林桂美は二人の後ろにスーツを着た若い男性が二人ついていることに気付いた。