城井お母さんは頷いて、「うん、よく彼女に話してみて。どうしてもだめなら、桐山おばあさんと相談して、彼女が明涛をちゃんと世話できるなら、家を彼女に残すのも悪くないわ。結局、明晴は今その一軒の家を必要としていないし」と言った。
桐山明涛のこの状況で、城井お母さんは小林桂代が彼を気に入らないのではないかと心配していたが、家があれば話は違ってくる。
小林桂代のような人は、一生働いても青葉市で家を買うことはできないだろう。
だから、その家さえあれば、必ず小林桂代を引き止めることができる。
小林桂美は笑って言った。「安心してください、お母さん。その家がなくても、姉は必ず承諾するわ。だって明涛兄さんは地元の戸籍があるだけでなく、名門校の優秀な卒業生でもあるし、姉がこのことを知ったら、きっと喜ぶはずよ」
小林桂代にとって、それは身分不相応な縁談だった。
桐山明涛が事故に遭わなければ、彼は小林桂代なんて見向きもしなかっただろう。
城井お母さんは小林桂美の言うことにもっともだと思った。小林桂代のような条件では、地元の人に気に入られるだけでも天にも昇る幸せなのに、どうして断るはずがあろうか。
大川素濃は帰宅後、明日の小林桂美の新居祝いの件を大川お母さんに話した。
それを聞いて、大川お母さんはすぐに立ち上がって、「私も行きたい!」と言った。
大川素濃は呆れて、「お母さん、あなたは招待されていないのよ」と言った。
大川お母さんは冷ややかに鼻を鳴らして、「招待されていないから行けないの?明日のような日に、あなたの叔母さんはあんなに体面を気にする人だから、きっと私たちを高級レストランに連れて行くはずよ。私はこの歳まで高級レストランにほとんど行ったことがないのよ!安心して、明日行っても余計なことは言わないから!」
「お母さん、高級レストランに行きたいなら、私が連れて行きますよ。どうして彼らの家の食事に便乗する必要があるの?」小林桂美が直接招待したのでなければ、大川素濃はこの賑やかな場に加わりたくなかった。
それに、彼女はいつも小林桂美が良からぬことを企んでいるような気がしていた。
大川お母さんは眉をひそめて、「あなたが連れて行くなら、それはあなたのお金を使うことになるでしょう。それは違うわ!」
お金を使うよりも、お金を使わない方が好きだった。