つまり。
小林桂美は、このような良い話を小林桂代に譲りたくなかった。
特に小林桂代に都会の戸籍を与えたくなかった。
城井お母さんはみかんを手に取り、少し冷ややかな口調で言った。「明涛の状態はあなたが想像しているよりも複雑かもしれません。今はベッドで寝たきりで自分のことができず、意識もはっきりしていないんです。」
桐山明涛の両足は、良く言えば少し具合が悪い程度だが。
実際は麻痺していた。
そして頭もはっきりせず、元気だった人が半植物人間になってしまい、排泄も寝たきりで、食事から排泄まですべて介助が必要だった。
そうでなければ、このような良い話が小林桂代に回ってくることはなかっただろう。
桐山明涛が寝たきりだと聞いた時、小林桂美はますます小林桂代を彼と結婚させたくなくなった。
桐山家はあれほど裕福で、桐山おばあさんは年老いており、桐山明涛は寝たきりで、この二人はいつ亡くなるかわからない。そうなれば桐山家は小林桂代のものになるのではないか?
桐山家は城井家よりもずっと裕福だ。小林桂代が桐山家の財産を相続したら、自分の頭上に立つことになるのではないか?
将来、小林桂代が自分より裕福になり、桐山家のお金で帝苑マンションに家を買うかもしれないと考えると、小林桂美は嫉妬で死にそうだった。
心の中で酢の壺がひっくり返ったようだった。
いけない。
小林桂美は絶対にそんなことを起こさせるわけにはいかなかった。
そう考えて、小林桂美は眉をひそめて言った。「桐山おばあさんはどうして明涛兄さんにヘルパーを雇わないんですか?」
ヘルパーを雇う方が嫁を探すよりずっと気が楽だ。
少なくともヘルパーは財産を相続できない。
ヘルパー?
それを聞いて、城井お母さんは小林桂美を見て、少し不機嫌そうに言った。「桐山おばあさんが今ヘルパーを雇える余裕があれば、あなたに言われるまでもないでしょう?」
小林桂美は驚いた。
桐山家は以前はとても裕福だったはずなのに。
どうして今は...
ヘルパーすら雇えないほどに?
もしかして...
桐山家は破産したの?
城井お母さんは続けて言った。「明涛が交通事故に遭ってから、彼の会社は経営する人がいなくなって下り坂になり始め、その後、彼の妻が愛人と共謀して、彼の全財産を持ち逃げしてしまったんです!」
つまり。