つまり。
小林桂美は、このような良い話を小林桂代に譲りたくなかった。
特に小林桂代に都会の戸籍を与えたくなかった。
城井お母さんはみかんを手に取り、少し冷ややかな口調で言った。「明涛の状態はあなたが想像しているよりも複雑かもしれません。今はベッドで寝たきりで自分のことができず、意識もはっきりしていないんです。」
桐山明涛の両足は、良く言えば少し具合が悪い程度だが。
実際は麻痺していた。
そして頭もはっきりせず、元気だった人が半植物人間になってしまい、排泄も寝たきりで、食事から排泄まですべて介助が必要だった。
そうでなければ、このような良い話が小林桂代に回ってくることはなかっただろう。
桐山明涛が寝たきりだと聞いた時、小林桂美はますます小林桂代を彼と結婚させたくなくなった。