088:山下が嫉妬して、目論見が外れる_4

二人は同じ師範大学の出身で、木下佳子は親友が責任を取らされるのを見たくなかった。

馬場秀理の表情が複雑になり、しばらくして木下佳子を見つめ、「佳子、あなたの気持ちはわかるわ。でも私は、小林綾乃がそんな不正をする生徒だとは思えないの」と言った。

彼女は小林綾乃を信じたいし、指導もしたいと思っていた。

「どうして?」馬場秀理のそんな頑固さに、木下佳子は焦りを感じた。「そんなことをしたら、自分の首を絞めることになるのよ」

馬場秀理は若いながらも、教育の面で特別な才能があり、そのため1組の平均点は常にトップを維持していた。

馬場秀理は続けて言った。「私も昔は小林綾乃のような立場だったから」

木下佳子は目を見開き、一瞬馬場秀理の言葉の意味が理解できなかった。

「中学生の時、勉強が嫌いで成績が悪かったの。高校入試では普通科に何とか合格したけど、高校1年の後期から、いい大学に行こうと決意して毎晩遅くまで勉強したわ。そこから成績が上がり始めて、クラスの最下位から上位10位以内に入ったの。でも誰も私が自力で成績を上げたとは信じてくれなかった」

ここまで話して、馬場秀理は苦笑いを浮かべた。「両親さえも私が不正をしたと思っていたわ。あの時期は本当に辛かったけど、乗り越えられた。大学入試の結果が出た時は、やっと重荷から解放された気分だった」

馬場秀理は一流大学に合格し、両親も教師も喜んでくれた。そして、まるで不正を疑われていた日々など誰もが忘れてしまったかのようだった。

彼女がどうやって乗り越えてきたのか、誰も知らない。

真夜中にどれだけ一人で泣いたのかも、誰も知らない。もし精神的に少しでも弱ければ、おそらく自殺していたかもしれない。

自分も雨に打たれた経験があるからこそ、今度は生徒のために傘を差してあげたいのだ。

たとえ誰も小林綾乃を信じなくても。

彼女は信じたいのだ。

木下佳子は馬場秀理を見つめ、しばらく言葉が出なかった。長年の付き合いがあるのに、馬場秀理がこんな話を自分にしたことは一度もなかった。

しばらくして、木下佳子は言った。「でも、どうして小林綾乃が昔のあなたと同じだと分かるの?前の学校での成績は良かったみたいだけど、あの高校はレベルが低いわ。こんなに急激に成績が上がるなんてありえないでしょう?」