088:山下が嫉妬して、目論見が外れる_5

すぐに。

一橋景吾は気づいた。この修理店には、自転車を修理しに来る女子生徒が増え、さらに多くの男子生徒も来るようになった。

ちっ。

一橋景吾は小林綾乃を見つめ、目を細めて言った。「小林の魅力は兄貴に負けないね。」

彼はある人物の反応を見てみたかった。

そう思い、一橋景吾は数枚のパンク修理用シールを持って山下言野の側に行き、何気なく言った。「兄貴、見たか?」

「言え。」

山下言野は顔を上げずに答えた。

一橋景吾はいたずらっぽい表情で、「今日、修理に来る人が増えたの気付いた?」

「それで?」山下言野は眉をしかめた。

一橋景吾は目を細めて、「半分は男子生徒だぞ。」

そう言って、一橋景吾は外を見やった。「しかも、みんな小林目当てだ。」

山下言野は表情を変えずに、「俺に何の関係がある?」