田舎では成績が普通だったのに...
青葉高校の編入試験で一位を取れるなんて?
ありえないでしょう!
カンニングじゃないの?
古川嬌は目を細め、みんなの反応に満足していた。
馬場秀理の声が再び響いた。「新しい同級生とうまく付き合ってほしいです。これからの学習で何か問題があれば、お互いに助け合ってください!」
そう言って、馬場秀理は小林綾乃の方を向いた。「小林さん、そこに座ってください。」
「ありがとうございます、馬場先生。」
小林綾乃は鞄を背負い、教室の唯一の空席に向かって歩いていった。
新しい隣席の女子は痩せて弱々しい感じで、小林綾乃を見ながら、おずおずと挨拶した。「はじめまして、植田雅静です。植物の植、優雅の雅、静かの静です。」
小林綾乃は軽く振り返り、「こんにちは。」
たった二言だけ。
植田雅静は肩をすくめた。新しいクラスメートは綺麗なだけでなく、オーラも強くて、どう話しかけていいか分からない。
その後の授業中、植田雅静は一言も話さなかった。
小林綾乃を見ることさえ怖かった。
授業が終わると、渡辺麗希はすぐに小林綾乃の元へ駆け寄った。「綾乃ちゃん、一緒にトイレ行かない?」
「うん。」小林綾乃は軽く頷いた。
植田雅静は渡辺麗希を見上げ、羨ましそうな目をしていた。
彼女も小林綾乃と一緒にトイレに行きたかった。
松本楠敬は渡辺麗希の後ろ姿を見て、呆れて首を振った。情けない麗希、利用されているのに気づかないなんて!
全く気づいていない。
馬場秀理は上機嫌で職員室に戻った。
ある教師が声をかけた。「馬場先生、今日小林さんが来ましたか?」
職員室の教師たちは誰もが小林綾乃のことを知っていた。
みんな馬場秀理が将来の青葉市の状元を担当できることを羨ましく思っていた。
馬場秀理は頷いた。「はい、来ました。」
「馬場先生、おめでとうございます。来年の優秀教師賞は間違いなく先生のものですね。」
「ありがとうございます。」馬場秀理は隣の城井紅代を見た。「これも城井先生がこの機会を与えてくださったおかげです。」
馬場秀理は城井紅代が小林綾乃を手放すとは思ってもみなかった。
何か変だと感じていたが、どこが変なのかはっきりとは分からなかった。