小林綾乃は173センチの身長で、渡辺麗希より一頭分以上高く、この生徒たちの中で群を抜いて目立つ存在だった。
だから、跳び上がる必要もなく、ちょっと顔を上げるだけで、掲示板の文字を簡単に見ることができた。
それを聞いて、渡辺麗希は非常に興奮した。「本当?本当に見たの?私たち二人とも10組なの?」
やはり母は嘘をついていなかったようだ。
小林綾乃は頷いた。「うん、そうよ。」
「わぁ!やった!」渡辺麗希は小林綾乃を抱きしめた。「これからは一緒に授業を受けられるね。」
「うん。」
入学初日、編入生が教室を見つけられないことを防ぐため、校内のあちこちに各クラスの案内板が設置されていた。
小林綾乃と渡辺麗希はすぐに10組の場所を見つけた。
青葉高校の3年生は全部で20クラス以上あった。
今回は合計50人の編入生を受け入れ、各クラスに2、3人ずつ配置された。
小林綾乃が渡辺麗希と一緒に10組の入り口に着いたとき、大川聡才が馬場秀理を連れてやってきた。
小林綾乃を見ると、大川聡才のさっきまで緊張していた表情が一瞬にして慈愛に満ちたものに変わった。「小林さん。」
「校長先生。」小林綾乃は軽く振り返った。
大川聡才は笑顔で言った。「小林さん、紹介させてください。こちらが馬場秀理先生で、これからあなたの担任になります。」
目の前のこの少女は、雪のように白い肌で、すらりとした体型、清楚な目元をしており、表情こそ特に変わらないものの、なぜか馬場秀理を緊張させるものがあった。
その感覚はとても奇妙だった。
まるで目の前にいるのが生徒ではなく、学校の幹部であるかのようだった。
馬場秀理は喉を鳴らし、心の中で言葉を選びながら、小林綾乃に手を差し出した。「小林さん、こんにちは。これからの1年間、クラスメートとうまく付き合って、良い協力関係を築けることを願っています。」
「よろしくお願いします。」小林綾乃の声は淡々としていた。
大川聡才は馬場秀理の方を向いて、「馬場先生、小林さんをお願いします。私は用事がありますので、これで失礼します。」
馬場秀理は頷いた。「はい、校長先生。」
そう言って、馬場秀理は小林綾乃の隣にいる渡辺麗希を見て、笑顔で言った。「あなたが私たちのクラスの二番目の編入生、渡辺麗希さんですね?」