091:小林さんは奇跡そのもの

城井定邦の視点から、小林綾乃の横顔が見えた。

彼女とはあまり会ったことはなかったが、小林綾乃は美しいだけでなく、とても特徴的な容姿をしていた。

城井定邦が間違えるはずがなかった。

そう思い、城井定邦は小林桂美に向かって言った。「桂美、もう一度よく見てごらん。あれは本当に綾乃によく似ているよ」

小林桂美は笑い出した。「何度見ても、あの人が綾乃のはずがないわ!芳美が言ったでしょう?あなたは安田院長が招いた医学の大物なのよ!綾乃がそんな大物医師だと思うの?」

それを聞いて、城井定邦は頭を掻いた。

小林綾乃はまだ18歳だ。

確かに医学の大物であるはずがない。

それに彼女は田舎から来たばかりで、医学の知識に触れる機会など全くなかったはずだ…

さらに。

学生の道のりは非常に厳しく、城井芳子のような優秀な学生でさえ、大学5年間と大学院、博士課程を経て、ようやく青葉総合病院での実習の機会を得たのだ。

小林綾乃はまだ大学にも入っていないのに…

もしかして…

自分の見間違いだったのか?

城井芳子は重要な点に気づいた。「定邦兄さんたちが知っている人は小林綾乃って言うの?」

城井定邦は頷いた。「ああ」

城井芳子は目を細めた。「大川先生がグループで言ってたけど、うちの安田院長が招いた医学の大物も確か小林姓だったわ」

そう思うと、城井芳子は少し興奮してきた。

もしかして従兄夫婦は本当にこの大物と知り合いなのか?

城井芳子はますます興奮してきた。

もし本当に大物と知り合いなら、彼女の実習評価にも希望が出てくる!

西京病院への就職も夢ではなくなる。

しばらくして、城井芳子は城井定邦と小林桂美の方を向いて言った。「あなたたちが言っている小林綾乃って、もしかしてその大物本人じゃない?」

そうでなければ、どうしてこんなに偶然に小林姓が重なるの?

それに、少し似ているとも言っていたし。

「ありえない、絶対にありえないわ!」小林桂美は笑いながら言った。「私たちが知っている小林綾乃は田舎から来たただの野育ちの娘よ!彼女はアルファベット26文字も知らないでしょう。まして医学の大物なんて、とんでもないわ!」

田舎から来た?

大物が田舎出身なんてありえない。

それに。

そうね、小林桂美自身の出自も普通だし、そんな医学の大物と知り合いになれるはずがない。