城井定邦の視点から、小林綾乃の横顔が見えた。
彼女とはあまり会ったことはなかったが、小林綾乃は美しいだけでなく、とても特徴的な容姿をしていた。
城井定邦が間違えるはずがなかった。
そう思い、城井定邦は小林桂美に向かって言った。「桂美、もう一度よく見てごらん。あれは本当に綾乃によく似ているよ」
小林桂美は笑い出した。「何度見ても、あの人が綾乃のはずがないわ!芳美が言ったでしょう?あなたは安田院長が招いた医学の大物なのよ!綾乃がそんな大物医師だと思うの?」
それを聞いて、城井定邦は頭を掻いた。
小林綾乃はまだ18歳だ。
確かに医学の大物であるはずがない。
それに彼女は田舎から来たばかりで、医学の知識に触れる機会など全くなかったはずだ…
さらに。
学生の道のりは非常に厳しく、城井芳子のような優秀な学生でさえ、大学5年間と大学院、博士課程を経て、ようやく青葉総合病院での実習の機会を得たのだ。