091:小林さんは奇跡そのもの_3

もしこの重要な時に何かが起こったら....

だから!

ダメだ!

小林綾乃を勝手にさせるわけにはいかない。

馬場康誠は躊躇いながら言った:「安田院長、やはり志村先生が戻ってくるまで待ちましょう!」

志村文礼は大物の直弟子で、脳神経外科の専門家だ。

彼が執刀する方が、小林綾乃よりずっと信頼できる。

「彼が戻るまで待つ?」安田振蔵は馬場康誠を見つめ、声を少し大きくして言った。「いつまで待つつもりだ?明日の朝か、明後日の朝か?」

彼は待てる。

馬場康誠も待てる。

しかし患者は待てるのか?

現在、患者のバイタルサインは全て低下している。手術を急がなければ...

そうでなければ、安田振蔵も軽々しく小林綾乃にリスクを冒させたりしない。

「それとも、この手術を馬場副院長ができるとでも?」最後は叱責するような口調だった。