091:小林さんは奇跡そのもの_5

これでもなかなか手に入らないのよ。

「ダフ屋でも買えないの?」小林桂美は驚いた様子で尋ねた。

中村てんてんは頷いて、「そうなの。しかも数百円のものが今では数千円にまで高騰してるのよ!」

それを聞いて、小林桂美はほっと胸をなでおろした。

きっと自分の記憶違いだったのだろう!

小林桂代と大川素濃のような無認可製品が、そんなに凄いはずがない。人々が列を作って買いに来るなんて?

しかし、考えてみると小林桂美はまだ少し不安で、続けて尋ねた:「その美人亭の店はどこにあるの?」

「新店は北定区の方よ。お姉さん、行くなら新店がいいわよ!旧店の方は何日も前から予約が必要なの!」城井芳子はこのフェニックスを北定区で並んで買えたので、小林桂美にも北定区での購入を勧めた。

北定区?

これを聞いて、小林桂美は美人亭が小林桂代のものではないとさらに確信した。

小林桂代の店は南通りにあったはずだから。

小林桂美は頷いて、「そう、北定区のどの通り?」

城井芳子は続けて言った:「天王寺通りの歩行者天国の辺りよ。」

そう言って、城井芳子はさらに付け加えた:「あそこの商品は本当に良いわ。お姉さんが買いたいなら、必ず早めに行って並ばないとね。」

「うん。」小林桂美は笑顔で言った:「ありがとう、芳美。」

「何のお礼も要らないわ。良い商品は皆で共有しましょう!ただ残念なのは、美人亭の会員になれなかったことね。毎週火曜日の会員デーには、たくさんの限定スキンケア製品が買えるって聞いたわ!」

ここまで話して、城井芳子の顔には残念そうな表情が浮かんでいた。

小林桂美は目を細めて、「それじゃあ、美人亭のオーナーはきっとすごい人なのね!」

「もちろんよ!」城井芳子は何度も頷いて、「スキンケア製品を専門に研究している私の同僚も、美人亭は最先端技術の製品だって言ってるわ。」

今は美人亭がまだ無名な国産ニッチブランドに過ぎないけれど、城井芳子は信じていた。いつか美人亭は、見かけだけの一流ブランドに取って代わり、世界進出を果たすと。

スキンケア業界の先駆者となるのだと。

城井芳子との会話を終えると、小林桂美は城井定邦と共に薬局へ薬を買いに行った。

薬局の入り口も行列ができていた。

しかし小林桂美には コネがあった。